船中八策巻頭言集 ぴこねっとの営業リーダー バッくんです
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第50号テーマ:代替効果と所得効果

株式会社ぴこねっと
代表取締役 及川秀悟

「経済原論」課題レポート


当該レポートは、経済原論科目の課題である「代替効果及び所得効果」について説明するものである。X財とY財の2財においてX財の価格変化が消費者の消費行動及び需要にどのような変化をもたらすかを考察した。
「代替効果及び所得効果」は、消費者の所得を一定とした場合において、ある財の価格変化が消費者の消費行動に与える経済的効果である。この事を説明する為に、まず「消費者の消費行動」理論の基礎となる、「消費の基本概念」と消費者の消費行動を明らかにする「無差別曲線及び予算制約、消費最適」について述べる。次に、消費者の消費行動に影響を与える、「価格変化と消費者行動」について述べて、財の価格変化が消費者のもたらす「代替効果と所得効果」の説明とする。

1、当該レポートにおける経済モデル
当該レポートの経済モデルは、消費者の消費する財はX財とY財の2財と仮定する。消費者の所得(M)とY財の価格は不変とし、X財の価格が変化した場合の消費者の消費行動を明らかにするものである。消費者はX財とY財の2財でその所得を全て使い切るものとする。

2、消費の基本概念
 消費の基本概念は、「消費者の消費行動は、常に最大満足を得ようとする経済行為」であり、消費者は、「財の消費によってのみ最大満足(効用の最大化)を得ることができる」とするものである。これを「家計の効用最大化原則」というが、家計の消費行動は、全て効用最大化のために行われる経済行為である。  
消費者の行動は、その財から得られる限界効用がその財の価格に等しくなったときに購入する。消費者の消費は、所得の範囲で各種の財の組み合わせで最大可能な範囲で購入する(予算制約)。いま財をX財とY財という2財と仮定した場合の消費者の消費は、消費者の所得の範囲内でX財とY財の2財の組み合わせで最大満足を得るように選択する。

3、無差別曲線理論
無差別曲線理論は、消費者の効用の大きさを「※序数的可測性」で表して説明するもので、予算制約と消費最適を分析し消費者の行動を明らかにするものである。
 無差別曲線は、効用水準の等しいX財の消費量とY財の消費量の無差別な組み合わせの集合体である。無差別曲線は、効用水準の等しいX財とY財の無差別な組み合わせで、同一無差別曲線上のどの2点を比較しても等しい事を表し、X財とY財のあらゆる組み合わせについての効用の大小を比較できるというものである。(※序数的可測性とは、数字の大きさに意味があるのではなく、数字の大きさに意味はなく数字の大きい順番で順序を表すことをいう)

?消費者の消費は、無差別なX財とY財の組み合わせで、効用は等しく満足するものである。
?消費者の効用(X財,Y財)は満足を得るように組み合わせ点を結んだものが無差別曲線である。無差別曲線は多数存在する。
?無差別曲線は予算線(LM線)と交わる。

4、予算線
 消費者の所得には制約があるので、消費者のX財とY財の購入は当然予算の制約を受ける。消費者の消費量は,予算(M)を使い切るようなX財の消費量とY財の消費量の組み合わせによる集合である事がわかる。下記図によって明らかにする。
所得(M)は一定で、X財の価格PxとY財の価格Pyは市場で決まる仮定すると次のように表す事ができる。
予算線(M)=Px+PyでX財への支出額とY財への支出額の合計は予算額(M)と同じになる。

5、消費者均衡
 消費の基本概念で述べたが、消費者は常にできるだけ効用の高いものを選ぶよう選択する。それは、消費者は効用の最大化を求めるからである(無差別曲線の右上方にある点の組み合わせを選択しようとする)。
しかし、消費者の所得には限界があり消費者は消費の制約を受けるため(予算制約)、消費者は予算制約の下で最も効用の高い無差別曲線上の組み合わせを選択しようとする。消費者均衡である。


6、最適消費点
したがって、消費者は予算線と無差別曲線の接点である最適消費点を選択するのである。

7,価格変化による消費者の実質所得変化と消費者行動
「代替効果及び所得効果は、消費者がある財の価格変化によって実質所得が変化した場合に、その実質所得の変化の影響の結果によって得られる経済的効果である。よってまず、消費者の所得変化が、消費者の消費行動はどのように変化するかについて述べる事にする。
7-1「消費者の実質所得変化と消費行動」
消費者の所得変化には、「貨幣所得の変化」と、「価格変化による所得変化」があるが、ここでは「価格変化による実質所得が変化した場合」について例を用いて説明する。
例えば、消費者の所得を不変(ここでは消費者の所得を1万円とした。)とし、2財の価格はX財4,000円、Y財を6,000円とした場合、いまX財の価格が1,000円低落したとき消費者の実質所得は1,000円増加した事になり、消費者はX財又はY財の購入量を増やす事ができる。また、X財の価格が5,000円に上昇した場合、消費者の実質所得は1,000円減少し消費者はX財又はY財の購入量を減らさなければならない。ここではY財の価格は不変としているから、X財の価格変化はX財の消費量の変化となる。このことから、消費者は実質所得が増加すれば消費量を増やし、実質所得が減少すれば消費量を減らすことがわかる。

7-2「上級材と下級財及ギッフェン財」
X財とY財という2つの財があったとすると、X財の価格が変化し消費者の実質所得が変化した場合における、上級財と下級財について述べることにする。
上級財とは、消費者の実質所得が増加すると消費量が増加し、実質所得が減少すると消費量を減らすような財を上級財という。  
下級財とは、消費者の実質所得が増加すると消費量が減少し、実質所得が減少すれば消費が増加するような財をいう。
ギッフェン財とは、財の価格が騰貴した場合、消費量も増加するような財をいう。
7-3「上級材と下級財及ギッフェン財」の例
例えば、所得が少ないとは5Kg2,000円の「秋田こまち」を買った人が、所得が増加すると5Kg2,000円の米を減らし、5Kg2,900円の「魚沼産コシヒカリ」に切り替えるようになる。この場合5Kg2,900円「魚沼産コシヒカリ」は上級財であり、5Kg2,000円の「秋田こまち」は下級財である。
ギッフェン財の例は、3月11日の震災後に「水」の価格が高騰したが消費量も増加した。これは「水」は生活に欠くことのできない必需品であり、水の価格が騰貴しても他の財の消費を減らしても確保しなければならないからである。

8、全効果
消費者の需要は、消費者の所得を一定とし場合に、財の価格が変化した時に需要は変化するが、その総需要の全体的変化を全効果という。需要の変化は、X財の価格が低落した場合は需要は増加し、X財の価格が上昇したときは需要は減少する(需要曲線で示した)。これを無差別曲線上で説明すると下図になる。
X財の価格が変化したとき、最適消費点は元の無差別曲線における最適消費点(A)から、価格が上昇した時の最適消費点(B)に移行する。

このとき、価格が上昇した時の予算線と平行に引いた元の
無差別曲線上の接点を(C)とする。元の無差別曲線上の最適消費点(A)と接点(C)の線が全効果である。
全効果は代替効果と所得効果に分解できる。この事をスルツキー分解といい、その方程式をスルツキー方程式という。
スルツキー方程式
(             )

8、代替効果と所得効果
消費者の所得を一定とした場合、消費者は最も満足の高い組み合わせで消費財を購入する事を「消費の概念」及び「消費者均衡」で説明した。また前述のように、ある財の価格が変化すると、消費者の実質所得に変化を与え、消費者は予算制約の下で最も満足がいく財の組み合わせを選好するようになり、他の財の購入量に影響を与えることは明らかである。 
価格変化が消費者の消費行動に影響を与える効果は2つある。それは「代替効果と所得効果」である。
8-1代替効果
X財の価格が低落すると、Y財は相対的に価格が上昇したことになり、X財の消費量は増加する。また、X財の価格が上昇すると、Y財の価格は相対的に低落したことになり、X財の消費量は低落する。これを「代替効果」という。代替効果とは、財の価格変化は実質的な所得変化をもたらし、消費者行動に次のような効果をもたらす。
(1)上級財は、X財の価格が低落すると、Y財に対して相対的に価格が割安になるので、Y財の消費量を減らしX財の消費量を増加させ、代替効果はプラスとなる。X財の価格が上昇すると,Y財に対して相対的に価格が上昇するので、代替効果はマイナスにはたらく。
(2)下級財は、X財の価格が低落するとY財の価格が相対的に上昇するのでX財は割安になり、X財の消費量は増加し代替効果はプラスになる。X財の価格が上昇した場合は、Y財に対してX財の価格が相対的に高くなるので消費量を減少させマイナスにはたらく。
8-2所得効果
X財の価格が低落すると、X財に対する消費者の消費量は増大する。それは、価格が低落すると消費者は低落した分だけ実質所得が増加した効果を得ることができるからである。これを「所得効果」という。所得効果は次のような効果がある。
(1)上級財は、X財の価格が下落した場合は、消費者の実質所得が増加するからX財の消費量は増加する。この場合,所得効果はプラスとなる。X財の価格が上昇した場合、消費者の実質所得は減少しX財消費量は減少する。所得効果はマイナスになる。
(2)下級財は、X財の価格が低落した場合、消費者の実質所得は増加し、X財の消費量は減少し所得効果はマイナスとなる。X財の価格が上昇すると消費者の実質所得は減少するので、X財の消費量は増加し所得効果はプラスとなる。

9、代替効果及び所得効果と全効果の関係性
代替効果及び所得効果と全効果の関係性について述べる。
代替効果と所得効果については前項で述べたので、ここでは全効果について述べ、代替効果と所得効果の合成である全効果をスルツキー方程式を使って説明し、その効果について説明する。

(1)上級財の場合の代替効果及び所得効果は、X財の価格が低落すると、X財の消費量を増加させ代替効果はプラスとなる。所得効果は、X財の価格が低落すると消費者の実質所得が増加し所得効果はプラスになる。代替効果も所得効果プラスになり、全効果もプラスとなる。
よって消費量は増加するのである。X財の価格が上昇した場合は、代替効果と所得効果はマイナスとなり全効果もマイナスとなる。よって全効果もマイナスとなり需要は減少する。    
(2)下級財は、X財の価格が低落した場合は、所得効果はマイナス効果であり、代替効果はプラスであり全効果はプラスとなる。X財の価格が上昇した場合は、代替効果はマイナス効果であり、所得効果はプラスとなり全効果はマイナスとなる。また、価格が低落し、代替効果<所得効果の場合は全効果プラスとなり、価格が上昇し代替効果<所得効果の場合は全効果はマイナスとなる。

(3)ギッフェン財の場合、
ギッフェン財の場合は、X財の価格が低落して所得効果>代替効果のときの全効果はマイナスとなる。X価格が騰貴して所得効果>代替効果の時の全効果はプラスとなる。

10、代替効果と所得効果の例
 10-1スーパーの特売と代替効果の例(上級財;牛肉)
代替効果をスーパーの特売の事例で説明する。普段はスーパーで豚肉を購入している人が、特売で牛肉の価格が低落すると、豚肉をやめて牛肉の購入量を増加させる。消費者にとって牛肉は豚肉より高価なものであるので、牛肉の消費は消費者の満足を高めるものであるから、豚肉の消費量を減らして牛肉の消費量を増やすようになる。X財の価格変化は他の財との相対的価値を変化させ消費量を変化させる。要するに高級財である牛肉の価格の低落は、豚肉の価格を相対的に上昇させ、牛肉の消費量を増加させる代替効果をもたらす。
6-2スーパーの特売と所得効果の例(牛肉価格の低落)。
所得効果のもっと顕著なものは、スーパーなどにおける特売がある。スーパーの特売は、前日までの価格を低落させることで、消費者の実質所得を増加させ消費量を増加させる。前日まで牛肉300g3,000円の牛肉が2,500円円に低落すると消費者の実質所得は500円増加した効果を得るので牛肉の消費量を増加させる。要するに、スーパーの特売は、消費者の所得は変わらないが、牛肉の価格を低落させることで消費者の実質所得を増加させる消費量を増加させる所得効果をもたらすのである。

 
7、結論
消費者の所得を不変として、X財の価格変化が消費者の消費行動に与える影響は2つある。それは代替効果と所得効果である。代替効果とは、X価格が低落すると、X財とY財との相対的価格比較において、Y財が高価な財となり、Y財から得られていた効用をX財の消費で肩代わりさせ、X財の消費量を増加させことをいう。所得効果とは、X財の価格が低落すると、消費者が市場で消費する平均的な価格が低落し、それによって実質所得が上昇し消費量が増加する事をいう。実質所得が上がると上級財の場合、全ての財の消費が上昇する。これを所得効果という。

参考図書
1、経済原論  著者・小幡道昭 東京大学出版会

2、経済学   著者・塩沢修平 新世社(2005年)
「第二章消費者と生産者の行動」
3、経済原論  著者・千種義人 慶応出版(2008年年)
           「第七章消費55P〜77P」

4、経済額学入門塾 
        著者・石川秀樹 中央経済社(2011年
           「第一章〜第七章4P〜96P」












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