社長日誌 > 船中八策の巻頭言集 > 第28号テーマ:小事を見れば則ち大事にならん | |
|
第28号テーマ:小事を見れば則ち大事にならん
小事を見れば則ち大事にならん もうこの「不景気」と言う言葉を聞くのは嫌であるが、でも本当に経営環境は厳しいものである事を肌で感じる。倒産する会社も身近で起きているし、街を歩いていてもテナント募集の空き家のビルや、廃業であろうシャッターの閉まった店も多く見かける。デフレ経済の下で販売業は売上単価は下がるし、受注型企業では受注単価の競争は一段と激しく、赤字覚悟での受注を余儀なくされる事も多くなってきたと聞く。 昨年以上の努力をしても売上金額は減少するし、粗利益も減少するのである。利益率も利益額も減少の一途である。できうる限りの創意工夫も努力してきたが、なかなかこれ以上の策が見つからないのも現実である。窮地を突破するために新しい商品の導入や新規の事業を検討するが、今一決断がつかないのである。 やらねばならないのはわかるのだが、先の見通しのつかない中での新しい商品の導入や新規事業への取り組みは賭けをするようなもので思い踏み切れないのである。 先日、知人がこれなら儲かるといって勧めてきた商品があった。時代性はあるし小資本でもできる商品なのでリスクも少ない。思い切ってやろうと思ったが良く検討した結果止める事にした。それは先の見えない商品は、一時的に利益は上がっても結局商品として大きく育たないと思ったからである。何より資金も人材にも余裕がないのも止める事を決断した要因ではあるのだが。 どんな時代においても、一つの新しい商品で利益を稼ぎ出すまでは時間がかかるし、新規事業を立ち上げるにもそれなりに充分な資金の準備と、事業が軌道に乗るまでの時間が必要である。 1ヶ月や2ヶ月で利益の出せる商品になる事も、新規事業が軌道に乗る事も無い。綿密な計画と準備、果敢なる実行力がなくして事業の成功はありえない。どんな緻密な計画や準備があっても計画通り行かないのも現実である。ましてやこんな時代に打ち出の小槌のような新商品もあるわけが無いし、あったとしたら、それは大きな落とし穴があると思ったほうが良いのではないかとさえ思う。 私も、3年前知人から勧められコンピュータ関連の新規事業を始めたが、深く計画もせず知人が話す成功した人の話を聞きその勧める言葉を信じ事業をスタートした。案の定赤字続きで採算が見込めずその新規事業は一年半で止めた。目先の儲け話を信じ事業計画を細部まで吟味せず甘い計画のままスタートしたのだが上手くいくはずが無かったのだ。 これによる損失は非常に大きかった。ただ早晩に気付き傷が浅いうちに撤退したのが不幸中の幸いであった。 「小利を見れば 則ち大事ならん」(見小利則大事不成)、「速やかなる事なかれ、小利を見ることなかれ、速やかならんと欲すれば 則ち達せられる。」、という論語の言葉である。 守屋洋先生の解説では「焦らぬこと、そして小利に惑わされないことだ。焦ると仕損じるし、小利に惑わされると大きな仕事はできない。」どんな仕事でも長期の目標を立てその目標に向かって一歩一歩前進すれば焦る事はない、という事であるが、この言葉に出会って目から鱗が落ちた。大いに反省させられた。 眼前の小利はすぐに実利にありつけるように見えるのである。今日やれば明日にでもすぐ儲けられるように思うのである。ゆえに充分な計画も準備もなくすぐに飛びつくと失敗するという事である 。要するに小利に目がくらむと「可を見て進み、難きを知りて退く。」という冷静な判断が利かなくなるのだ。 しかしながら経営は絶えず新しい商品や新しい事業にチャレンジしなければならないのである。今日の売れ筋商品はやがては死に筋商品になる時が来るし、現在の中心的事業が衰退事業になる時がくる。 これは商品のライフサイクルであり事業の寿命である。永遠の商品も永続する事業もない。だから経営者は常に次の主役になる新しい商品の開発と、会社の安定を支える事業を創造していかなければならないのです。この商品の開発と事業の創造は、会社の永続的発展と成長に欠かす事のできない条件である。 故に新しい商品に取り組む時や新しい事業を興す時は、小利に目が眩み事業の将来性や実現性を見極める冷静さを失わない事、充分な計画や準備を怠らない事を、経営者は肝に銘じなければならないのです。 今日の厳しい経営環境であればこそより一層の心の冷静さと、果敢な挑戦意欲での行動が大切である。窮して小利に走るなかれである。一方「見小利則大事不成」の言葉も良いが、「備え以って時を待ち、時を以って事を興す。」(以備待時、以時興事)の管子の言葉もまたよいのではないだろうか。 「助ェな計画と準備をもって実行の時を待ち、資金、人材、世の流れの条件の到来で事を興す。」というものだ。ものごとをやる時は、この「待つ」が大事なのである。新商品の導入にも新規事業を興すにも、それをやる最も良い時機到来を待たなければならない。早すぎても遅すぎてもいけない。充分な資金があってもそれを実行する人材がなければダメだし、有狽ネ人材がいても余裕のある資金がなければこれもダメである。 また充分なる資金と有狽ネ人材の両方が揃っても、その事業を行なうのに時機がよくなければ成功にありつけない。成功を手にするには条件が整うまで待たなければならないのだ。そして時機到来を冷静に見極める時が経営者の判断迫ヘが試される時であり、その後の事業の運命を決める時であるとも言える。 「見小利則大事不成」を肝に命じたい。 |
|||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
日本ねっ島 |
郷土料理 |
おやつ・おかずレシピ |
社長日誌 |
会社案内
|
Copyrights ©2024 PICONET,Inc All Rights Reserved |