社長日誌 > 船中八策の巻頭言集 > 第48号テーマ:利益説と能力説の立場からの所得税と消費税の比較 | |
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第48号テーマ:利益説と能力説の立場からの所得税と消費税の比較
1、はじめに 所得税は、暦年期間の個人の所得にかかる総合課税であり、税負担を担税者の負担迫ヘに応じて割り当てるのに対し、消費税は、原則として全ての財貨・サービスの国内における消費全般に広く負担を求める課税であり、公共財の消費に対する負担という意味合いが高い税である。 所得税、納税者の支払い能力応じて徴収されるものであり、「租税は国家の一般的利益のために徴収されるもので、納税者の支払い迫ヘに応じてなされなければならない」とする、能力説の考えの立場に立っていると考える。 消費税は、個人の担税力には関係なく、個人の消費の事実に課せられるものであり、その財源は公共支出のサービスに対する対価の性格のものであり、利益説の立場にあると考える。 2、租税制度の意義と租税の目的 租税制度の意義は、民主国家において国家の維持に必要なコストを、主権者たる国民が共同して負担する事にある。その目的は、?公共サービスに必要な財源の調達、所得再配分、景気調整、政策目的の財源であるといわれる。 租税の国民負担は、主権者の代侮メ(政府)を通して負担すべきものであるし、この事が、国民が納税の義務を負うことの根拠となっている。 3、租税の基本原則 租税理論原則は、A.Smithの4原則やワーグナーの9原則、マグレイブの7条件などがあるが、現在の基本原則は公平・中立・簡素の3点を中心に考えられている。ます?公平性については、課税の公平性は「垂直的公平性」と「水平的公平性」があり、垂直的公平性は、担税力に応じて税負担も増す事を求めており、水平的公平性は、担税力が同じであれば税負担も同等であるという事を求めるものである。?中立性については、課税が経済における資源分配の歪みを与えないようにすることである。簡素については、課税は税務当局や納税者にとって手続きが分かりやすく、理解しやすいことが求められる。課税の基本原則は、その時々の経済情勢の変化や経済学の変遷によって発展してきた。 4、5、所得税 所得税は、所得課税税目の一つであり、暦年中に個人の所 得に対して課税される税金である。所得税法は所得の発生形態によって10種類の所得金の所得分類をもうけて、これらの経済的利益から、経済的利益を得るために要した必要経費や給与所得控除を差し引き、所得金額計算をする総合課税方式を取っている。課税所得は、担税力を増加させる全ての純資産の増加とする考え方で、取得型所得概念の一つである。取得型所得概念は、所得税再分配機能が発揮できるという利点があり、日本はこの立場を採用している。所得税は、所得が多いと高い税率、所得が低いと低い税率が適用される累進税率で課税される。これは、所得の多い人は、税金を負担する力も大きくなるという考え方に基づき、 現在は日本の累進税率は15%〜最高で40%までとなっている。 所得分類は、所得の種類を10種類に分類しているが、所得の性質によって担税力が異なるために、担税力に応じて計算方法を定めるためである。所得分類は、租税原則の公平性を根拠としている。但し、所得金額が一定以下の人には税が免除される課税最低限度額制度がある。所得税は担税力に応じて税を負担するというものであり、迫ヘ説の立場にあると考える。 6、消費税 消費税は、消費課税税目の一つであり、広義には消費全般に対して広く負担を求める課税であり、狭義では消費税法で定められる消費税と地方消費税がある。また消費税は消費そのものを課税対象とする直接消費税と、消費の前段階に課せられる間接消費税がある。さらに間接消費税は個別消費税と一般消費税に分類されるが、一般的に消費税という場合は一般消費税を指す。消費税は納税者の負担迫ヘとは関係なく、消費全般に広く課税されるものである。消費税は、公共支出のサービスに対する対価としての財源として、広く税負担を求めるもので、その意味では消費税は利益説の立場に立っていると考える。 また消費税には個別消費税のように、ある特定目的をもって、財貨やサービスに課税される消費税がある。個別消費税は、酒や煙草のような嗜好品に賦課する「嗜好品課税受益者負担の原則」に基づいて特定の公共サービスを行うために関連した商品・サービスにかける「目的税」、その他、生活必需品とはいえない商品に課される「奢侈品・娯楽用品・サービス課税」がある。これら特定目的の消費税は一般消費税より税率が高く設定されおり、財貨やサービスが受益者負担となっている。 7、所得税と消費税の比較(消費税は一般消費税をいう。) (1)課税対象。所得税:個人の所得(利子所得・給与所得・配当所得・譲渡所得・退職所得・事業所得・不動産所得・山林所得・一般所得・雑所得)。?消費税:国内の財・サービスの国内における販売・消費及び輸入取引(外国貨物の引取り)に対して課税される。最終的には消費者が負担する。 (2)納税義務者。所得税:課税対象の個人。課税最低限の人は税負担がない。?消費税:課税資産の生産、流通、販売の全段階の財貨・サービスの販売・提供を行う事業者(国内取引)。但し全段階において仕入れ税額控除がされる。 (3)課税標準。所得税:総所得金額。消費税:課税対象の譲渡資産等の対価の額。 (4)税の仕組み。所得税:所得金額の合計額から所得控除額を差し引いた額に対しての超過累進税率を適用して計算する総合課税。消費税:原則として全ての財・サービスの国内販売、提供及び輸入取引(外国貨物の引き取り)に課税される。生産流通:販売の各段階において消費者に財貨・サービスを提供する事業者を納税義務者とする。事業者に課せられる税相当額は、コストとして財貨・サービスの販売価格に転嫁され、消費者が負担する。 8、結論 所得税は、暦年期間の個人の所得にかかる総合課税で、納税義務者は個人であるのに対し、消費税は消費全般に広く負担を求める課税で、納税義務者は財貨・サービスを提供する事業者であるが、最終負担者は消費者である。所得税は、納税者の支払い迫ヘに応じてなされなければならない、とする迫ヘ説の立場にあり、消費税は、個人の支払い迫ヘには関係なく、個人の消費の事実に課せられるものであり、その財源は公共財・サービスに対する対価しての性格のものであり、利益説の立場にあると考える。 |
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