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第45号テーマ:世界経済のグローバル化と国際会計基準に関する論考(2)
3、国際会計基準の目的 一般的に会計基準は、企業の業績を適正に表し、企業の財産状態を明確にするものである。その企業の業績を表すのが「損益計算書」であり、財産状態を表すのが「貸借対照表である。この損益計算書及び貸借対照表作成基準を定めたのが会計基準であり、その目的は、企業の財務諸表作成が適正に行われることで、投資家や債権者・ステークホルダーが企業の財政状態や業績・企業実態を正しく判断し、健全な投資と安全な取引ができるように保護することである。その為に「適正処理」をするための基準が会計基準である。会計基準は国内的には各国が会計基準を定めている。日本においても「企業会計原則」があり、8つの原則が定められているが、企業会計原則だけではカバーしきれないため、慣習法としての商法の規定や、会社法や金融商品取引法などによって体系化されている。国際会計基準は、投資家や債権者に「公正で適切な会計赴L」で処理される財務諸浮謔チて、健全な投資と安全な取引を保護することを目的としている。 4、国際会計基準の歴史的経緯 1990年代に入り、世界経済のグローバル化は一層勢いを増す中で、グローバル企業の海外での資金調達も一層活発になった。企業の資金調達は一方では投資家から業績の開示や財務状態の安全性などの財務情報の開示が求められるようになった。このような投資家や債権者の要求により2000年あたりからは連結制の導入、キャッシュフロー計算書の財務諸浮表組み込みや、簿価会計から時価会計への移行、退職給付金会計、減損会計などが導入されることとなる。国際会計基準は2009年から相互承認に向けて作業が進められているが、日本では、金融庁が2009年12月11日に連結決算について、2010年3月期から「国際会計基準」にのっとった開示を選べるようにするという、内閣府令の改正を交付した。鯨岡氏は「国際会計基準は世界100カ国以上で採用されており、日本でも利用が増えそうだ。」と言われているが、国際会計基準は企業活動のグローバル化とともに多くの多国籍企業で採用されていくものと思われる。 5、国際会計基準と日本の会計基準との違い 日本の会計基準は、アメリカの会計基準に準じた「条文主義」であるのに対し、国際会計基準は原理原則主義を原則としている。ゆえに原則に沿っている限り企業の会計方針や処理方法で処理することが許される。 会計方法の違いの事例 (1)のれん権;日本では20年以内の償却→「国際会計基準」非償却。 (2)工事収益;日本では完成工事基準、工事進行基準→「国際会計基準」工 事進行基準。 (3)子会社の取得・売却;日本では「みなし日」基準」→「国際会計基準」明文 なし。 (4)投資不動産;日本では原価法→「国際会計基準」原価法と時価法の選択。 (5)有給休暇引当金;日本では基準等はない→「国際会計基準」計上しなけれ ばならない。 (6)開発費;日本では発生時費用計上→「国際会計基準」資産計上。 (7)固定資産等の資産除去負債;日本では発生時に計上→「国際会計基準」 取得当に見積計上。 (8)金融商品の公正時価の注記;日本では有価証券・デリバティブに限定→ 「国際会計準」全ての金融商品。 6、日本における会計基準 日本には国内会計基準として、昭和24年に当時の経済産業省の制定した「企業会計原則」がある。この企業会計原則の原則事項をここで述べることは目的ではないので省くが、日本における企業会計原則は一般原則として8の原則からなりたっている。8原則は「真実性の原則・正規の簿記の原則・資本取引、損益取引区分の原則・明瞭性の原則・継続性の原則・保守主義の原則・単一性の原則・重要性の原則」から成る。 一般原則の他に貸借対照表・損益計算書原則がある。また企業会計原則でカバーしきれないところは、慣習法としての商法の規定の解釈にもとづいたり、会社法に基づく金融商品取引法によって体系づけられている。「企業会計原則以来、日本の会計基準は旧大蔵省の企業会計審議会により制定されてきた。しかし、国際的調和の観点から、諸外国と同様に民間による会計基準の設定を望む声が強くなり、2001年に設立された企業会計基準委員会に順次移行することとなった。」(企業会計審議会レポート) 企業にとって国際会計基準の採用は国内会計基準の変更であり会計の継続性の原則などに照り合わせると、導入には大きなコストがかかるといわれる。 7、国際会計基準採用による利点 国際会計基準の採用は、日本企業にとってどのような利点があるかについて、国際会計基準審議会の山田辰巳理事は12月12日の朝日新聞で次のように述べている。「かつての日本企業は海外での資金調達が難しかった。原因の一つは、日本の会計基準が揺らいだこと。世界会計基準を採用すれば、世界中の投資家が日本企業の財務内容を誤解なく採用できるようになる。会計の世界の共通言語は、全ての商売の信頼の基礎となるはずだ。」。いまや大手企業は海外での生産、販売が多くなり世界に拠点を置いて活動している。資金調達も海外依存が高まり、海外の投資家からの資金調達が拡大している。こうした企業において国内会計基準及び米国会計基準では、投資家からの信頼を得て行く事は困難を有することになる。特に近年における多国籍企業は、国際的M&Aや企業同士の経営統合による規模拡大・企業価値を高める経営手法の採用、経営悪化の大手企業の救済を国際的な資本提携などで救済している。このような国際的な企業間取引、企業連携、企業買収などは多くの資金を必要とし、その資金を国際的に調達することになる。多国籍企業のこうした動きは、投資家にとってはビジネスチャンスである。故に企業の業績及び財務の実態が適正に処理されていることは、投資家の信頼を得ることになるのである。 8、結論 「世界経済のグローバル化」とは、ヒト・モノ・カネや情報が国という枠を超えた世界規模で移動することであり、その移動が多国籍企業などによってより活発に行われる事であるといえる。多国籍企業の活発な活動は資金需要を旺盛に、企業は国際的な資金調達を必要とする。その企業に資金の貸与及び投資をするのは国際的な機関投資家である。その投資家が健全な投資ができる事、債権者が安全な取引ができる為のルールが、グローバル経済社会には必要不可欠である。投資家が健全な投資ができ債権者が安全な取引ができるためには、多国籍企業の業績・財産状態が「公正・適正」に行われ開示されなければならない。「国際会計基準」は、このような社会の要請に応える国際的な会計ルールである。 参考文献・資料 「世界経済論・講義資料」・・・中沢栄一 「世界経済の20世紀」・・・小田・浜田 「国際会計基準 選択性に」・・朝日新聞12月12日 「外国為替の基本」・・・松田哲(秀和システム) 「企業会計原則」・・中央経済社 |
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