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第33号テーマ:江戸商人に学ぶ・江戸商人の人材育成
「江戸商人に学ぶ」「江戸商人の人材育成」 江戸商人は店員の接客教育に厳しかったようである。接客は商人の顧客サービスの最も基本的なものであった。そのため女性の奉公人は特に厳しい躾をしていたようである。例えば、娘の育て方もこんな心得4カ条なるものを江戸商人は持っていたようである。 1、 物事おとなしく、世智賢きこと嗜む。物事の素直でおとなしく振る舞い、世の中のことを良く知り進んで仕事に取り組む。 2、 少しにても上品なる言葉使い。身嗜をなし、仮にも下卑たる品形心得るべし。日頃から言葉使いに注意し上品な言葉使い、身の回り事については常に心がける事。決して見苦しい振る舞いや下品な行いは品事を戒めている。 3、 芸達者といはるるより、読書算用あっぱれといはるべし。芸達者であるよりは、読み書き算盤で人から評価される事の方が接客で大切であることを教育している。 4、 櫛笑 衣装など不自由なりとも、親を憎むべからず。どんな生活が不自由や苦しくても、決して親を憎んだりしてはならない。 江戸商人は奉公人を一人の商店の社員として厳しく人教育すると共に、社会人として人間としての教育もしっかりと行なっていたのである。江戸時代の商人は奉公人の娘をわが娘のよう育てるといわれる、わが娘のように育てるには、わが娘に対する厳しさと同じように奉公人の娘も厳しく育てたと思われる。箸の上げ下げから寝姿まで朝起きてから寝るまで、礼儀、挨拶はもとより仕事の仕方、接客、言葉使い、身嗜み、振舞いまで厳しくされたようである。 娘は上品な言葉を使い決して下品な言葉や身嗜みをしてはならない。よく本を読み算盤で人より優れ評価されることを良しとすべきだといっている。芸達者なことで世間の評判などは決してほめられることではないと戒めている。 また「人の娘と生まれたからには、やがて人に懇望され花嫁、御新造様と呼ばれる事となれば心の嗜大事なり。わけて娘は、人の振り見て我が振りを直し、流行歌、心中道行など、決して読むべからず。両親の育て柄にもよれど、近頃の娘の知恵早くつき、姿形遊女に似、言葉使ひまで下卑たり。慎むべし。」と、やはり日頃の振る舞いから言葉使いまでの事を厳しく戒めている。 「「ニート」や「フリーター問題の原因は」 今日、ニートとかフリーターと言われる若者が増えている事が社会問題となっている。 「ニート」や「フリーター」という言葉は若者達の耳には非常に心地よく聞こえるらしい。インターネットのあるブログにフリーターは「気楽だ」とか「自由に働けて格好がいい」等と書いていた20歳の若者がいたが、気楽だとか自由とは言っているが、今を短絡的に生きることしか考えられないこのような若者が増えてきている日本の将来は決して明るくないと思われる。 フリーターは今や若年層だけではないようだ。30代やなかには40歳のフリーターもいて年々増えているという。「ニート」とか「フリーター」には定義があって、ニートは「就業、就学、職業訓練のいずれにも着かない人」をいう。もともとイギリスで生まれた言葉なそうだが、学生でもなく、就業者でもなく,求職活動もしない、主婦(主夫)でもない人達で身体や、年齢的には大人だが、親に食わしてもらっていて社会人になれない大人ということである。 一方フリーターは、厚生労働省の定義では「会社や団体組織の正社員や職員として所属せず、時給や日給による給料を主な収入源として生活する人」要するに永久にアルバイトを主な収入減とする人なそうだ。何れも定職に着かず定期収入もなくアルバイトや臨機収入で暮らす人達を指す。フリーターの定義は厚生労働省と内閣府では異なるそうで、厚生労働省は「正社員になりたくない人」の事をいい、内閣府は「いま正社員で働いているが正社員になりたくないと思っている人、なれない人」を言うそうだ。 内閣府の言う事はよく分からない。「正社員で働いていて正社員になりたくない人」が何故フリーターなのか。どのような調査でこんな事がわかるのだろうか。厚生労働省の統計によると「ニート」の人口は64万人でフリーターは213万人である。(厚生労働省)フリーターの年齢層は15歳から35歳の迄の人を言うそうだが、35歳のフリーターも結高「ることにびっくりする。少し前までは35歳といえば会社の中堅で働き盛りであり家庭の大黒柱としての存在であったが。会社でも家庭でも責任が重かったが、今は仕事での「責任」という言葉が嫌がられるし、社会に縛られたくない、会社に拘束されたくない等を理由にフリーターになる人が多いという。 先日あるブログを読んでいたら「なぜ働くの?」と書いていた若者がいたが、働くことの意味もわからなくなってきた日本の若者を見ると背筋が寒くなる思いである。 このような「ニート」や「フリーター」が増えることは国にとっても将来に大きな不安を残す。若者の職業迫ヘが高まらないとか、低所得者が増え犯罪や社会不安が起こる、社会保障制度が維持できなくなる等、大きな社会問題なのである。 「ニート」や「フリーター」が増えてきている事の原因はいろいろある。戦後の学校教育で「自由」だけが強調され、「働くことの意義」や「社会人としての責任」を教えてこなかった事や、マスコミが「フリーター」を格好よく美化し、若者の自由な労働スタイルを持て囃した事が大きい原因と私は思う。 一方、企業のご都合主義もあると思うのである。安い賃金で働かせて何時でも辞めさせる事ができる対象にしたのである。要するに人件費を固定費から変動費にしてコスト管理のクッションにしたのである。企業はコストコントロール策としてフリーターを使うことで企業競争に勝つことができる国「になったのである。 「会社という組織の拘束からの開放」「自由な時間で働きたい」というフリーターと、コスト削減や人件費の変動費化を狙う企業の自給バランスが変にマッチしたのがこのような社会現象を生んでいるのではないだろうか。 「あるコンビニで」 「ニート」や「フリーター」はコンビニや飲食店等で働く人が多いが、コンビニや飲食店などで働くフリーターには、挨拶ができなかったり服装や履物等身嗜みの乱れているものが多い。先日もあるコンビニに行ったら、髪をまっ黄色に染め、靴の踵を踏み潰して履き、決して清潔とは言えない服を着た若者がレジにいたが、不愉快そのものであった。 コンビニの経営者にはこのような従業員を教育したり育てようとする姿勢が見られない。どうせ直ぐ辞めるのだからとか、短期間のアルバイトだから教育してもしょうがないとでも思っているのだろうか。 しかし正社員でも同じようなことはある。いま終身雇用が崩れ成果主義を取り入れる企業が多くなってきた。結果さえ良ければ全てよしで、結果の出せる人だけが優遇される時代になった。だから教育もすぐ結果の得られる即戦力の教育に力が注がれることが多いと聞く。その影で結果が出るのが遅かったり出せなかったりする人は自然に辞めざるえないという社風が出来上がってしまう。 このような環境から仕事を次々と変える人たちが増えている。特に大企業は徹底した成果主義であるのでこの傾向は強いといえる。 「経営土壌論」 以前、経営者漁火会で中村会長から「経営土壌論」なるものを教えて頂いた。経営には見える経営と見えない経営がある。見える経営は企業規模や広告宣伝等外部から見える事をいい、見えない経営は企業理念や社員教育・企業風土・社風であると教えていただいた。 そしてこの見えない経営に経営者はもっとも力を入れなければならないという事だった。木に例えれば幹や枝、葉は見える経営であり、「根っこ」は見えない経営である。幹や枝、葉は根からの栄養を吸って生きていられるのであるから、根っこに肥料を与え水を注ぎなさい、という事なのだ。その栄養や水が社員教育であり企業風土の醸成であるという事である。 この目に見えない部分が「立派な経営の基」であると思う。この目に見えない経営の実践者で、中村会長の第一の弟子であった、ピコイの近藤社長の経営を勉強する機会を頂いて勉強させていただいた事があった。経営理念はもとより、近藤社長の人生観や社会観、仕事観、そして社員一人一人の人生と仕事の肥となる歴史上の人物、偉人の話を説いて聞かす教育を、社長自ら何庶條ヤもかけてやっておられた。 社員は会社の基であり社員の人生と生活を守り企業を成長させるのが経営者の大事な仕事であるとの近藤社長の信念からの教育であった。このような経営者の下で「立派な社会人」が育てられるのです。 「フリーター問題解決は中小企業にしかできない」 江戸商人は奉公人に礼儀作法、言葉使い、倫理観や道徳観、お客様の接待の仕方、商品の取り扱い方やお金の使い方や、人の話の聞き方まで厳しく教育した。商売も経営である。所詮経営者は社員がいなくては会社は成り立たない。顧客と接するのも商品を作るのも販売するのも社員である。 経営者は自分の考えている事、経験してきたことをしっかりと社員に伝え、社員と共に思いを共有したときに立派な社員が育成されるし、経営者としても立派な会社が作られるのだと思う。「ニート」や「フリーター」が増え続ける今日、この問題を解決できるのは政府でもなければ学校でもない、また功利主義を追う大企業でもない。 社員を同志として抱え、江戸商人のように親身になって社員教育ができるのが中小企業であると思うのです。 |
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