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第38号テーマ:経営者の孤独
経営者の孤独 経営者というものは、いつもいろいろな事を、決断しなければならない立場にいる。大きな決断もあれば、小さな事での決断もある。よく経営者とは経営の意思決定をする人と言われるのは、此の事を云うのである。 その決断とは、物事をやるかやらないかを決める事であり、この決断が経営では「意思決定」というが、経営者が精神的にも肉体的にも最もエネルギーの要る仕事である。経営の意思決定は、経営者にとって最も重要な仕事であり、それがあるときは組織の運命を決める事もあるし、会社の将来の発展や衰退を決めてしまうこともあるのである。経営者がしなければならない意思決定には、新規投資で積極的な経営展開をしようということから、新製品の開発や、新規製品の導入、そしてそれらが売れるかどうかの見極めなどの事もあれば、資金調達や人事案件・対外交渉での重要な意思決定もある。しかし、このような意思決定はどちらかと言うと積極的な意思決定であり、慎重にしなければならないが、将来に対する展望もあり前向きに取組むことができる。しかし、経営者の意思決定は何時も前向きの意思決定だけではない。支店の廃止や人員削減・事業縮小や不採算事業からの撤退などの消極的意思決定もある。特にこの種のものは、取引先との関係や社員とのトラブルも覚悟しなければならないし事業というものは積極的に拡大するときは、友人も取引先も金融機関も積極的に応援してくれるものである。また社員も会社の将来の発展を期待できて嬉しく、みなハッピー・ハッピーなることが多い。 しかし事業の縮小や撤退のこととなるとこれは違う。社長の意思決定した事に対して金融機関も周囲も冷ややかな眼差しなのである。社員も「だからうちの社長は・・・・」とか「社長のやったことだからと・・・」と囁くのである。積極的な意思決定をしていた時「太鼓判」を押していた金融機関にいたっては、「社長の事業見通しが甘いよ」と手のひらを返すような言葉が出てくるし、時には資金の引き上げを臭わす時もある。それまで事業の将来性や成功を信じ投資してきた事業資金は事業撤退で捨て金となるし、縮小資金や撤退資金には新たな無駄金が必要になる。このとき経営者の意思決定は孤独と不安と恐怖の中で断腸の思いでしなければならない。この責任は誰のせいにもすることができない。経営者一人のものである。 ただただ自分の判断の甘さと実行力の足りなさを悔やむしかない。悔やんでどうなることでもないが、しかし責任を誰にも持っていくことができないのだから、悔やんで悔やんで後悔し、最後は自業自得を納得するしかない。経営者は評論家ではないのだから自らの判断の誤りは自分で責任を取るしかないのです。故に経営者の意思決定は非常に難しいことである。 また、こんなこともある。意思決定をしなければならないときに意思決定をしないでビジネスチャンスを失なったり、売り上げの減少や人材の流出が起こっても手を打たないで、時の流れに身を任せて倒産に追い込まれた話などがよく聞く話だ。 以上のように、経営者が事業経営の上で会社の成長の為や会社存続のためにしなければならない意思決定は、経営者の強い意思侮ヲとして積極的に行われる場合と、已む無く行わなければならない意思決定とがあるが、いずれにしても経営者の決断が会社の運命・方向を決めてしまうことは確かである。 最近企業犯罪などの事件がよく報道されるが、企業犯罪や事件に経営者が大きくかかわっていることがある。ミートホープの食肉偽装事件、雪印食品の牛肉偽装事件や補助金詐去膜潤A姉歯の耐震偽装事件、不二家偽装事件、どれもこれも呆れた事件であるが、 極めつけは船場吉兆の食べ残し(残飯)使いまわし事件だ。これらは従業員の不祥事やミス、故意で起こったものではない。経営者自身が指示したりかかわったり、知っていて黙認したりした事件である。このような事は悪意の意思決定又は無意識の悪意とでも言うのだろうか。いずれにしても経営者の何らかの意思が働いていたことには間違いがない。経営の上に起きる問題、課題は経営者自らの意思で解決しなければならないし、企業成長の為の施策は経営者の決断と実行力でのみ達成可狽ニなるのである。 司馬遼太郎は小説「播磨灘物語」の中で、武士の決断についてこのようなことを言っている。 「武士の悲しみは、合戦のつど、妻子と死別を覚悟せねばならぬ事ではなく、常に旗幟を明らかにせねばならぬことだ」という。 旗幟を明らかにするという事は、自分が加勢する主家である大将を選ばねばならないという事だ。戦国武将は戦いに負ける事は常に死を意味する事であり、その戦いは大将の采配で決まる。だから勝つ大将に付く事が自分の命を守ることであり、身のおき場所を決めることである。どの大将のもとに身をおき働くかの決断こそ最も厳しい決断であった。 何時も自らの決断が命のやり取りであったのである。 意思決定の仕方も経営者によって、また置かれている状況によってまちまちである。ある経営者は役員会で半数以上が賛成した事案はやらないとか、またある経営者は役員会で全員反対したことは必ず成功のチャンスありと実行を決断するという。 また、重要案件は社外の人の意見を聞いてそれから役員会にかけ意見を聞いて、最後は自分ひとりで意思決定するという経営者もいる。 経営者は孤独と言うが、その孤独とは決断しなければならない孤独である。 |
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