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第31号テーマ:母恃久安 母憚初難
母恃久安 母憚初難 「払意を憂うることなかれ、快心を喜ぶ事なかれ、久安を恃むなかれ、初難を憚る事なかれ」という言葉が中国の古典菜根譚の中にあります。「母憂払意。母喜快心。母恃久安。母憚初難。」と意味が一見難解そうな漢文ですが意外と易しいです。その意味は「思い通りにならないからとてくよくよするな、今万事が上手く運ぶからといって喜ぶな、今の幸せに心を許し何時までも続くと思うな、事の最初の困難に挫けたり逃げたりするな」という事なのです。 菜根譚の著者、洪自誠は「長い人生や日々変化する経営の中では何をやっても思い通りにならない時がある。そんな時は苛苛したり、くよくよするな。そのうち状況が変化しチャンスが到来するものだ。何をやっても思い通りに行かない時は、次の時期を待つ充電期間とでも思ってじっくり高ヲる事が大事だ。 また反対にやる事なすことが順調に運び笑いが止まらない時もあるものである。そんな時は有頂天になったり自慢したりするなと言うことである。人間は好調な時に、また順調な時の驕りや過信が後に大きな失敗に陥ったりするものである。失敗の原因というものはこの順調な時に芽生えるものである。順調であればあるほど足元をしっかり見つめておきなさい。」と言っている。日本でも「驕る平家久しからず」という言葉がありますが同じような意味だと思います。 今が幸せだったり良好だったりすると、ついつい今の幸せがこのまま続くと思いがちになりやすく、その心地よさで努力、精進しなくなるから気をつけよと戒めています。われわれの生活は今が幸せであっても卵ェのできない突然の不幸や苦難困難な事件に見舞われる事があります。事業においても今が順風満帆でも取引先の突然の倒産や取引の事件に襲われる事もありますが、こんな時普段からの心高ヲがないと途端にまいってしまいます。故に普段からの物心の備えを怠ってはならないと菜根譚は教えています。 今東京で、日曜雑貨商品の販売をしている中堅会社のコンピュータシステム開発、システム運営、サーバーの管理の仕事をさせていただいていますが、その会社を訪問する度にこの社長の経営姿勢に感動します。商品の日用雑貨品は中国で製造し、日本で小売卸売りをしている会社で社員50人、年商も30億近い超有力企業です。その会社で仕事をさせていただいて感じる事は、 1.社内が明るい事。(まず声が大きい。ハキハキして気持ちがいい。) 2.徹底したコスト意識を社員全員で共有している事。 3.社員全員が営業である事。お客様一人一人に親切である事。 4.社員がいつも危機意識を持っている事。特に社員全員がいつも危機意識がある事には関心いたします。 ここの社長が社員に毎日話している事は、 1.「今日は確かに売れて利益がでた。有難いことである。でも明日お客様がまた来てくれる保証はなにもない。また近くに競合店が何時できるかもわからない。だから今日のお客様を一人一人大事にしよう」ということに徹しているというのです。 2.「今月は確かに売れて利益がでた、でも来月天候異変で売り上げが落ちるかもしれないし、大型店の進出があるかもしれない。だから今月しっかり売り上げし利益を出しておこう」と、今月の業績を必ず達成する事に社員全員一丸となって取組む事にしているといいます。 3.「今期は確かに売り上げも利益も出たし計画も達成できた。でも来期の卵zは全くつかない。だから今期のできる事は今期にしておこう。来期に持ち越さない」 と社員に語りながら25年やってきているのです。今期確実な成長と多くの利益を出しながらも「母喜快心、母恃久安」の心で普段からの心の備えを怠らない経営姿勢を持ちながら経営をしているのでした。25年の経営者人生のなかでこの事を一日も忘れず、どんな高収益の時も心を緩めた事がないといいます。それが今日のこの会社の企業風土になり、社員一人一人の行動になっているのだと思います。 「母憚初難」も経営者にとっては噛み締めておきたい言葉です。「最初の困難に、挫けて逃げてはならない」というのですが、事業はライフサイクルがありますから今の事業だけでは必ず衰退がきます。絶えず新しい事に挑戦し続けなければならなりません。それが新しい商品開発であったり新規事業の立ち上げであったりするわけです。また新しい販路の開拓もしなければならない、というように何時も新しい事に挑戦し続けなければならないのが経営者の仕事です。 しかし新しい事というものは卵ェの行かない事ばかりであり、思い通りに行かない事も多いものです。正に「初難」がつきものです。どんなに綿密に立てた事業計画であっても、また人生設計でもやってみたがなかなか思い通りにいかない方が多いのです。思わぬ事に出くわしたり、計画では卵zのつかない事が発生したり幾多の困難に遭遇するものなのです。卵ェのつかないことが多かったり思わぬ苦難に遭遇するから事業も人生も楽しい、という人がいますが、しかしこの事を楽しめるようになればいいのですが、新しい事業は資金や時間、資源に制約があったりして楽しんだりしている余裕などないしとても楽しむ境地になどなっていられない。 故にまた苦難と戦わなければなりません。「母恃久安 母憚初難」は、今に満足するな、最初の困難から挫けるな、逃げるな、腰砕けするな。」と言っています。困難、苦難にあたっても必ずそれを乗り越える道がある事を信じて粘り強くやり続ける事だと教えています。 「伝習録」に「人はすべからく事上にあって磨くべし」(人須磨在事上)とありますが、困難は自分を磨いてくれる最もいい機会なのです。「母憂払意 母喜快心 母恃久安 母憚初難」は、自分に驕らず普段から自らを戒めなければならないのだと思います。 菜根譚は中国の明の万暦年間(1573〜1619)の人、洪自誠が残した随想集です。菜根とは、菜っ葉や大根のような事という事ですから、人間の生き方のもっとも普遍的なとか自然的な事を意味しているのではないかと思います。「常に菜根を咬み得れば百事なすべし」という「小学」の言葉が「菜根譚」の舞閧ノなったようです。中国の古典は、読むものに強い倫理観や道徳観を求めたり、潔癖なまでの生き方で説いたりしているものがあります。 また処世や事業訓においては成功の法則を説いたもの、失敗の原理を説いたものがありますし、王道、正道を説きながら一方では凄みのある処世術を説いているものもあります。中国の古典は二千年前に書かれたものから数百年前に書かれたものまでどれをとっても、現代の我々の生き方の指針としても本当に新鮮に語りかけてくれます。 今日の語録 子曰く、過て改めざる、これを過ちと謂う。 (通釈)孔子が言った。(過失は誰にでもある・しかし)過失を犯した時、それを自分で反省し、改めなかったら、それこそ、本当の過失というものだ。 |
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