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第03号テーマ:背水の陣
中国古来の兵法書「孫子」のなかに、「水を背に、山を前に戦え」というのがある。 ”股くぐり”のエピソードで有名な漢の将軍韓信が、それを見事にやってのけた史実が残っている。韓信が趙の軍と戦い窮地に陥ったとき、一万二千の兵を川を背に陣を取らせた。敵である趙軍は、これまでにも例のないその無謀な布陣を嘲笑し、一蹴せんものと打って出た。だが、自ら逃げ場を失った決死の漢軍の戦闘力は凄まじく、逆に二十万の趙軍はさんざんに打ち負かされたのである。圧倒的な敵の兵力に勝ったのである。 韓信は「己を死地に陥れてはじめて生を得る」という孫子の兵法を実戦のうえで見事に実証して見せたのである。この戦法を名付けて「背水の陣」ということは周知のことである。 人は、一歩も後に退くことのできぬところに追い込まれると、普段では出し得ぬ力が瞬時のうちに何十倍という形で突出するものである。「もう後には死しかない。考える余裕もなければ策もない。ただあるのは、自ら前へ進むだけ」というときに、不可能だと思っていることが可能になることは良くある。 今日の厳しい経営環境の中にあって、ひときわ味わい深い言葉のように思える。少なくとも、人生の大半をすごす職場と仕事の中で、いつも「背水の陣」の心構えでいたいものだ、と自らの心に言い聞かせている・・・・・・・・。 |
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